【開催報告】「観光地域は都市計画 ・ まちづくりに何を期待するのか?」日本建築学会大会(九州)都市計画部門研究懇談会

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本研究懇談会は、都市計画委員会(観光と地域プランニング小委員会)主催で、8月26日(金)13:30~17:00に開催された。

司会は伊藤弘(筑波大学)、副司会は岡村祐(首都大学東京)であった。

─主旨説明|川原 晋(首都大学東京)

小委員会では観光まちづくりの政策から現場までの計画技術の総合化を目指してきた。本日は、議論の対象として、産業としての観光を意識し地域の総合力で取り組む「地域観光」を設定し、これを推進する枠組みとして「地域観光プランニング」を提起した。これは事業性を意識し、公民連携で観光資源の発掘から産業化までを包含するプログラミングである。これを多視点から議論する。

─主題解説

観光計画の今日的状況と課題|梅川智也(日本交通公社)

観光計画の起源や、かつての観光開発計画から観光地経営計画へと移行しつつある経緯や状況を説明した。今日的状況について、外国資本が入る場合のマネジメントコストの課題や、入湯税の基金化による独自財源確保、日本版DMOのあり方の模索等の提起があった。都市計画には合意形成を解く手法や観光計画を担保し、実現する手法を期待したいとあった。

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観光地域における都市計画・まちづくりの技術~別府・由布院を事例に|姫野由香(大分大学)

観光地の盛衰やその変遷を説明する仮説として、「バトラーのライフサイクル曲線」と安島氏の「観光地の価値モデル」の重ね合わせで変遷を分析することを試み、「都市計画に関連する計画やガイドライン等が如何なるタイミングで導入されたのか?」を別府と湯布院の事例をもとに時系列で整理し、観光における都市計画や計画技術の役割を提起した。

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公民連携で観光まちづくりを進めるための方法~水都大阪を事例に|泉 英明(ハートビートプラン)

水都大阪を事例に、水辺を活用する取組みを公民連携で進める経験について説明した。その中で、従来の「つくる」マスタープラン主義から、これからは「使う」事業性主義へ、最終のマネジメントに関わる人が最初のビジョンづくりから一貫して関わることの必要性を説き、民間主導プロセスの留意点を提起した。

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法制度に基づくエコツーリズムの推進|海津ゆりえ(文教大学)

エコツーリズムは観光の一概念で、観光—地域—保全のwin-win-winのバランスの重要性を指摘した。課題は、構想のみならず計画への落し込み、行政施策との連携が不可欠である点と、地域の人材確保・育成、財源面である。エコツーリズム推進法をガイドラインとし補完する制度や取組みが必要である。

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観光まちづくりを実現するための観光政策|内海麻利(駒澤大学)

社会情勢の変化と共に都市計画側と観光事業者側の双方の状況が変化し、その中で都市計画・まちづくりの特質として、公共性、全体性、時間性を指摘した。またフランスの事例を元に、観光政策における国の役割として計画技術を用い、地方、民間団体の調整、公定化などの法整備等を紹介し、日本の地方分権下での自治体政策展開を提起した。

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─討論

観光側は都市計画側に何を期待するか?の議論の中で合意形成の話から、リーダー論や組織、事業、公民連携のあり方等、地域で観光を動かす際の課題や現場の声等を議論した。

─まとめ|岡村祐(首都大学東京)

成果として、地域観光プランニングの理論構築や論点整理がされてきたが、今後は空間的議論や特定課題の掘り下げ等の議論の必要性を説き、まとめとした。

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