委員考察

不定期で、ブログ的に各委員の活動や、考察を掲載していきます。タブのプルダウンメニューからテーマ別の詳細内容にアクセスできます。


 

◯地域資源の観光対象化

地域資源の観光対象化とは、地域固有の資源を明確に認識できる状態にすることであり、そのための情報および空間の整備や演出を行うことといえ、その手法を検討し、明らかにしていくことを目的としています。

地域資源の観光対象化は、まず地域内の様々な要素を資源として選出することから始まります。それを地域内で共有し、外部や来訪者とのつながりの中で観光の対象としていく過程が考えられます。その過程の中で、具体的にどのような手法がとられているのかを、具体の事例から把握・整理しています。

収集事例:大分県別府、鉄輪温泉、岩手県遠野

地域資源の観光対象化事例

また、従来の地域づくりとは異なり地域資源を外に伝達していくことは、地域ブランドの構築にも結び付いています。こうした観光対象資源-地域づくり-地域ブランドの関係を時系列で整理し、それらを結び付ける手法の検討も併せて行っています。

観光対象化と地域づくりプロセス案

 

◯環境保全と来訪者管理手法
五箇山・相倉集落での観光行動調査

2014年11月に、五箇山・相倉集落(富山県南砺市)にて観光客の行動・認識調査(プレ調査)を行いました。

相倉は20世帯に満たない合掌造り集落ですが、1970年に国の史跡に指定されて以来(1994年には重伝建地区にも選定)、国内でも先駆的な「生きた文化遺産」として保全されてきました。1995年には世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の構成資産となり、今年は登録20周年を迎えます。

北陸新幹線の開業もあり、周辺地域とともに観光への期待も高まっていますが、史跡内では土地の改変が難しく、唯一の生活道路が観光動線と重なるなど、観光客の受け入れと住民生活との両立を図る上で、多くの課題を抱えています。

今回はプレ調査として、複数箇所での観光客の通行量を計測し、観光客の回遊行動を把握するとともに、滞在内容や集落の景観、保全への協力意識等に対するアンケート調査を行いました。

当日は天候が悪く、多くのサンプルを得ることはできませんでしたが、今回の結果をもとに内容を精査し、継続的な調査・分析を進め、小規模集落における来訪者のマネジメント手法を検討する予定です。

相倉集落を歩く観光客 OLYMPUS DIGITAL CAMERA

◯主体の連携体制や地域資源・経済活動の関係の解明
世界遺産を中心とした文化財の保護、管理並びに、観光・都市マネジメントに関する調査

2014年 8月〜9月に、フランスの世界遺産を有する基礎自治体(リヨン市、ボルドー市、ストラスブール市)の世界遺産及び文化財保護並びに管理にかかわる所管課へ下記のような聞取り調査を行いました。

【基礎自治体における文化財保護行政と世界遺産】
(1)自治体における文化財保護行政の概要
(2)自治体における世界遺産の登録の経緯と文化財保護法との関係
(3)世界遺産登録がされている文化財の保護・管理の状況
(4)管理計画を策定している事例についての計画内容と実施状況

【ICOMOS※1等の世界的文化財保護方針の変化動向に関連して】
(5)世界遺産の登録及び管理の方針が変化してきているなかで配慮している点
(6)都市づくりや観光政策との関係で配慮、あるいは検討している事項
(7)historic urban landscape(歴史的都市景観)に対する対応について
(8)木造建築等の「真性」性についてと、有形文化遺産と無形文化遺産を統合する遺産保護を目指すことについて

【世界遺産地域の都市マネジメント】
(9)世界遺産地域を面的に保存していくための方策
(10)観光政策や交通政策等との関係と調整
(11)世界遺産地域を保全、維持、発展させていくための主体(コミューン、EPCI※2、観光協会、アソシアシオンなど)

リヨン市 リヨン市
ボルドー市 ボルドー市
ストラスブール市 ストラスブール市

※1:ICOMOS(国際記念物遺跡会議)International Council on Monuments and Sites
※2:EPCI(コミューン間公施設法人):établissements publics de coopération

 

 

◯観光政策推進体制について その1:豪州

観光政策推進体制調査として歴史的に観光産業に発展に力を入れているオーストラリアの観光政策、施策、推進主体の実態を調査した。対象は、ニュースサウスウェールズ州政府観光局(DNSW)と南オーストラリア州政府観光局(SATC)、その州内のそれぞれ2,3の有名観光地の存在する基礎自治体観光課へのヒアリングを行い、ツアーや観光情報センターの取り組みなどを調査した。
オーストラリアでは、連邦政府の観光政策であるtourism 2020のもと、各州政府観光局が政策を立案している。州ごとに違いはかなりあるが、今回調査したニュースサウスウェールズ州政府観光局(DNSW)と南オーストラリア州政府観光局(SATC)は、PR事業をするようなディスティネーション部門だけでなく、マーケティング調査部門や、計画部門、イベント企画・運営部門などを有した専門家集団組織となっている。大規模イベントを誘致したり、自ら企画・運営するイベント部門を持っているのが興味深い。また、州政府観光局が立案した計画を、基礎自治体(Coucil)や、観光圏のまとまりで複数のCoucilや事業者が集まった組織 Regional Tourism Organization(RTO)に提供している。近年、予算や権限をこのようなより地域側の組織に移していく動きが見られる。こうしたところがDMOに相当する組織として発展していけるかが模索されていることがわかった。
(川原、永野)